【2023年】今や世界のロングボードシーンでは主役のピッグ!コンセプト別おすすめを14本選出しました!
更新日:2023年3月1日
ロングボードのリバイバル後、その形状はハイパフォーマンスからノーズライダーへと移り、現在は『PIG』(ピッグ)が主流となっています。
それは古き良き時代へのノスタルジーをベースに持つサーフィンカルチャーの原点回帰の流れとしては必然であったかもしれませんが、実際にはダイナミズムに変革をもたらし、牽引する者たちによって成し遂げられたのです。
『ピッグ』が容易で楽しいロングボードなのは間違いありませんが、サーフボードの歴史の中でどのような発展をしてきたか、またその過程で作られたボードの違いを知ることによって『ピッグ』の魅力を満喫することができるでしょう。
そこでピッグの歴史、シェーパーのコンセプトなどをもとに、一人一人の個性にマッチした14本の『ピッグ』をご紹介させていただきます。
なぜ今、ピッグなのか
1950年代のカリフォルニアでベルジーの工場でラミネーターの間違いによって偶然作られてしまった「ピッグ」。それは当時のボード作りのコンセプトに反しノーズの幅がテールの幅より狭く(ボードの最大幅がボードの中心よりもテール寄りに移動している)なっていました。
しかしベルジーは間違って作られてしまったそのボードを実際に海に持ち出したとき、当時の重く、動きの悪いサーフボードよりも誰もが簡単に操作できるということを発見したのです。そしてベルジーはそのボードを売り出したことによりサーフィンを一部のマニアの楽しみから現代に続く巨大な産業へと導いたのです。
それ以来、しばらくの間、サーフボードの主流はピッグが主体となっていましたが、1960年代後半より興ったショートボードレボリューションによって、ロングボードに有効なピッグのデザインはあっけなく葬り去られたのです。
1980年代になりロングボードのリバイバルブームが訪れたときも、ロングボードであるにもかかわらずショートボードのようなパフォーマンス性能が求められたために、形状はノーズ幅が広く、テールが絞り込まれたロッカーの強いデザイン、まさに大きなショートボードのようになっていました。
その後、1990年代中頃からノーズライディングにフォーカスされたシングルフィンロングボードが主流になってくるのですが、ノーズライディングに偏り過ぎたボードはアウトラインがスクエア形状に近くなり、動きが鈍重でロングボードの楽しさや自由さを損なう方向へと向かっていきました。
その風潮に風穴を開けたのがロビンキーガルとアレックスノストです。彼らは2003年頃にはすでにノーズライダーが持つ不自由さを認識し、もっとスピードがあり、もっとコントロールがしやすい楽しく自由なロングボード作りに没頭していったのです。
彼らは単にコントロール性能の優れたモダンなボードを作ろうというのではなく、アイデアのベースを1960年代のサーフボードを再現することをコンセプトとしました。
それはコンテスト主体のスポーツサーフィン(彼らがクラブ活動と呼ぶ)を除き、サーフィンの本質は最先端の技術や進化を求める世界とは正反対にあることを悟っていたからです。サーフィンの魅力は古着を着たり、昔の音楽を聴くことと同じだと考えたのです。
彼らの考えにたちまち同世代の若いサーファーたちが呼応したのです。「サーフィンだけは、競わず、自由に、昔のようにゆったりと・・・」
しかしロビンキーガルとアレックスノストは単なる歴史の上書きをしたわけではありません。
彼らのサーフィン史へのフォーカスは当時のサーフボードを当時に遡って再進化させただけではなく、あらためて「サーフィンカルチャーとは?」ということを世界に問いかけ、その答えを導き出し、世界に普及させたことです。
サーフィンとは、サーフボード上でのテクニックだけではなく、着る服も、音楽も、車も、生き方もすべてを含めたライフスタイルだと知らしめたのです。
それ以来今日に至るまで、サーフボード(特にロングボードとトランジションと言われるミッドレングス)を作るコンセプトのベースにはクラシックやレイドバックが主流となっているのです。
2011年に発売された雑誌「Blue.」において“PIG復活”というテーマが取り上げられています。
紙面の中ではピッグという形状のサーフボードが魅力的に語られていますが、その中で何度も「このムーブメントは若き日のロビンキーガルとアレックスノストの手によって・・・」と書かれています。
古き良き時代への回帰は当時を知る年配のサーファーによってもたらされたのではなく、若干20歳の二人の天才サーファーによって導かれたのです。
そして導き出されたロングボードの答えが、ピッグだったのです。
※出典:Blue. #30 ネコ・パブリッシング
様々なピッグの種類と代表的なボード14選!
1950~60年代のサーフボードに原点を持つピッグですが、時代背景やコンセプトによってさまざまな種類があります。
その種類と違いをご説明するとともに、世界的に評価されている代表的なボードをご紹介しましょう。
《クラシックピッグ》
その名のとおり1950~60年代のサーフボードの再現をコンセプトに基づいて作られたタイプです。
素材には重量が増された高圧縮のフォーム、ラミネートも8オンス以上のボランクロスが使用されています。
全体的に丸みを帯びたボリュームのあるフルレール、フラットなボトム、ロッカーのデザインになっていますが、実際には当時のままのフラットロッカーでは操作性が悪すぎるので、テールに若干のロッカーが付けられているボードが主流となっています。
ハイテクノロジーとは無縁の昔風のボードを昔のように楽しめることが最大の魅力です。
《ハイパフォーマンスピッグ》
1967年頃になるとオーストラリアにおいてサーフボードの急速な進化が見られるようになりました。
まだまだ重く動きの鈍重だったロングボードをもっと大きな波で、速く、素早く動かそうというムーブメントです。ホットジェネレーション期と言われたその時期のサーフボードの復活の立役者となったのがデーンピーターソンです。
デーンピーターソンはカリフォルニアからオーストラリアに移住し、当時ハイパフォーマンスロングボード一色だったオーストラリアのサーフシーンをカリフォルニアスタイルのシングルフィンロングボードへと転換させた最大の立役者ですが、オーストラリアでレジェンドのボブマクタビッシュに会い知己を得て、その開発に乗り出しました。
高速のノーズライディング、ふり幅の大きなカットバックができるこのタイプのボードはノーズライディングに偏重して倦怠感が増しつつあったロングボードシーンに大きな風穴を開けました。
《ホットジェネレーション》
ホットジェネレーション期より約2年後、ロングボードの進化はより急速になり、9ftに満たないボードも作られ、一気にショート化を加速させることとなりました。すなわち、この時期に作られたボードが当時のサーフボードの最終進化形となります。
この動きを察知した当時のカリフォルニアの巨大サーフブランド各社は共謀し、オーストラリアで興っていることを世の中のサーファーに知らせないようにメディアに圧力をかけました。
彼らは2年間にわたりその情報を封じ込め、その間にロングボードの在庫を売り払いながらショートボードを大量生産したのです。
それによってカリフォルニアのサーフシーンはある日突然のようにロングボードがなくなり、ショートボードの世界となったのです。
進化を続けていたロングボードはその道を絶たれ、連続性を持たずにショートボードの時代へと移っていったのです。
ロビンキーガルは「もしそのような圧力がなかったら、ロングボードはもっと進化していたはずだ」と考え、それらのボードを探し出そうとしたのですが、それを作っているシェーパーは世の中に存在しませんでした。
そこでロビンキーガルはロングボードからショートボードへと進化していく過程を自分で創り出そう、真のトランジションを目指そうと考えたのです。
そうして作られたのが、1968年から69年当時にオーストラリアで作られていたボードの進化形となる“ホットジェネレーション期”のピッグです。
《オールマイティなピッグ》
クラシック期にベースを持ちながら、上記のタイプのような強い個性をあえて抑えたモデルも存在します。
あくまでも当時のアウトライン、レールフォイル、ロッカーを持ちながらも、もっと容易に扱えるボード達です。
すでにノーズライダータイプのボードに乗っているサーファーにとって、次のボードとして安心にお勧めできるボードです。
ブランド | ダノー | ガトヘロイ | ガトヘロイ | ハーバー | アンヒンジド | ガトヘロイ | BMT | サーファビリー | クリーム | ガトヘロイ | アンヒンジド | エルモア | クリーム | マドルガーダタブラス |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
モデル | ホッグ | プレイピッグ | スムースオペレーター | 66バナナ | ペトピッグ | プレイボーイ | パーソナルログ | ジャレッドメル | プレイデート | スペースピッグ | スリングブレード | サムズクラブ | フラワー | ネブラ |
ボードのタイプ | 重量級クラシックピッグ | ベルジータイプの古典的ピッグ | エクストリームクラシックピンテールピッグ | ビンテージレプリカ | パフォーマンスピッグ | エクストリームピッグ | ハイパフォーマンスログ | パフォーマンスピッグ | パフォーマンスピッグ | ホットジェネレーション | ホットジェネレーション | ピッグ | ピッグノーズライダー | アートボード |
ボトム形状 | フラット | セミロール | セミロール | フラット | ノーズコンケーブ~ロール | セミロール~VEE | フラット~ロール | ノーズコンケーブ~フラット | セミロール~フラット | ロール | セミロール | ノーズコンケーブ~ややロール | ベリーロール | フラット |
レール形状 | 50/50 | 50/50 | 50/50ピンチ | 50/50 | アップレール | ピンチレール | 50/50ソフト | アップレール | アップピンチレール | ピンチレール | アップピンチレール | 50/50ソフト | 50/50テーパー | ピンチレール |
ロッカー | テールキック | 極控えめ | 抑えめ | フラット | 控えめ | ノーズロッカー | 控えめ | 抑えめ~テールキック | 抑えめ | ノーズロッカー~抑えめ | 抑えめ | ゆるやか | ゆるやか | フラット |
重量 | 10.0~13.0㎏ | 9.5~10.5㎏ | 8.5~10㎏ | 9.5~11.0㎏ | 7.5~9.5㎏ | 8.0~9.0㎏ | 7.0~8.5㎏ | 8.0~9.5㎏ | 8.0~9.5㎏ | 7.0~8.5㎏ | 7.0~8.5㎏ | 8.0~9.0㎏ | 7.5~9.0㎏ | 9.0~11.5㎏ |
価格 | ¥320,000~ | ¥299,000~ | ¥320,000~ | ¥380,000~ | ¥368,000~ | ¥370,000~ | ¥330,000~ | ¥320,000~ | ¥343,000~ | ¥260,000~ | ¥420,000~ | ¥325,000~ | ¥314,000~ | ¥420,000~ |
公式サイト |
◇プロフィール
ノーズライディングだけに囚われない、世界最先端のロングボードマニューバーを得意とする。また、ロングだけでなくミッドレングス、フィッシュなども乗りこなすマルチプレイヤー。
◇大会成績
・NSA全日本選手権優勝
・NSAグランドチャンピオンシップ優勝
・NSAシングルフィンオールスターズ優勝
・ISA世界選手権日本代表3度出場
・2022年JPSA年間ランキング11位
◇スポンサー DEUS EX MACHINA
◇活動拠点 千葉(太東、一宮)
ボード以外に、これも必要!これを持っておくと便利!
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ロングボード専門ショップにて20年以上の販売歴を持ち、本場カリフォルニアのみならず世界のロングボード情勢に大変詳しく、海外の著名なサーファーたちとネットワークを築いている。
また数々のロングボード専門誌にサーフトリップやサーフカルチャーについての記事を寄稿し、日本のシングルフィンロングボードカルチャーを牽引している。
サーフボード購入者が後に後悔しないように、予算、要望を細かく聞き、最適なボードをすすめることをモットーにし多くのユーザーの信頼を得ている。
解説:シーコング