Robin Kegel
【シェーパー・・・ロビンキーガル】

天才の系譜



10代の前半に故ドナルドタカヤマ氏の薫陶を受けた後、デューイウェーバー、タイラー、ダノーのチームライダーを経たロビンキーガルは2003年満を持して自らのブランドCreme(クリーム)を立ち上げました。
斬新なアブストラクトカラーを纏ったそのボードは瞬く間にカリフォルニアを席巻し、盟友アレックスノストとともにポストジョエルチューダー世代の旗手としてスターダムを駆け上がりました。
その後、今では伝説となったコスタメサの1653番地のガトヘロイファクトリー、カピストラーノビーチにあった半円筒形の旧式の工場を再生したショールームなど様々な革新的な試みを行った後、カリフォルニアの模倣文化に嫌気がさしたことと自らの複雑な生い立ちのルーツを探し求めるべく、2012年、フランスのビダールに拠点を移しました。




いつの時代も派手な成功をおさめながら、協調性に欠け、誇大妄想と被害妄想に苛まれながら、多くの仲間を失い、そしてまた新しい世界を創り上げてきました。
ロビンキーガルの存在は忘れかけていたサーファーという古き良き時代の特殊な人種の生きざまを思い起こしてくれるとともに、内面に秘めた巨大なクリエイティブに関するエネルギーについて自らのコントロールを制御不能にさせる様は、まさに芸術家の宿命であり、天才性を強く感じさせてくれるのです。


決してブレることのない唯一無二のシェーパー



一般的にシェーパー達はサーフボードをつくり、そこから得られる収入によって生活をしています。
生活を支えるために流行を追いかけたり、数をこなすことを重視したり、時に自分のコンセプトにそぐわないボードをつくらなければなりません。
しかしロビンキーガルは幸運なことに十分な財産を受け継いだことによって、生活に必要なお金のためにサーフボードをつくる必要はなくなりました。
彼がシェープをするのは、ただ単にシェープが好きだからというのが理由です。
彼にとってサーフボードづくりは、画家が絵を描いたり、音楽家が作曲をしたりするのと同様に作品を仕上げることです。
芸術家にとって作品の一つ一つは完璧でなければなりません。
そのために納期はコントロールできず、また作品の本数も非常に限られたものになることもあります。
またロビンキーガルは自身の想像に基づいてシェープをするので、今起こっているムーブメントに迎合することはありません。




かつてトーマスキャンベルは「決してブレることのない唯一無二のシェーパー」とロビンについて語っています。
ロビンキーガルが常にムーブメントの創始者となる理由は、彼が真の芸術家であることに他ならないのです。


時代をクリエイトする



現在、世界のロングボードシーンを席巻するPIG(ピッグ)、人目を惹きつける鮮やかなアブストラクトカラー他、多くのロングボードを取りなすディテールは、ロビンキーガルによって現在に蘇らされたものです。
サーフィン界のアイコン、アレックスノストはインタビューの中で「常に誰よりも先に行き、時に周囲に理解されないこともあるけど、わかる奴にはわかるって感じさ」とロビンの才能を評価しています。